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 プロフィール・説明Twitterマシュマロ

最終更新:2023/11/21 18:30

 社長の『moon』実況が完結しました。
 とっても大変良いシリーズになったので、改めて記録しておきたいなと思ったので記事にしました。
(試験的に、自分の感想ツイートをまとめたり考えなおしたりしたものです)
 
※以下はゲームのネタバレを含みます。未プレイ・未視聴の方はご注意下さい。
 未プレイ・未視聴だと意味が分からない文章もあるかと思います。是非アーカイブをご覧下さい。

全編再生リスト

どんなゲーム?

 1997年10月16日発売のPlayStation用ソフト。開発元はラブデリック。実況はSwitch版。ジャンルは「リミックスRPGアドベンチャーゲーム」。
「アンチRPG」「アンチゲーム」をメインテーマとし、CMのキャッチコピーは「もう、勇者しない。」。
 ファンタジックな世界観、可愛らしくもどこか恐ろしいクレイアニメ調のグラフィック、なかなかにぶっ飛んだ台詞、ロックかつアンビバレンツな美しい楽曲……などなど、独特の空気が感じられる。
 
「勇者がモンスターを殺して経験値を得てレベルアップする」というRPG要素を皮肉るように、主人公は「殺されたモンスターの亡霊を探して救出(キャッチ)する」ことで「ラブ」を得る。他の登場人物のイベントをこなすことでもラブは得られる。
 一定のラブを得た状態でベッドで眠るとランクアップし、「愛の~」という称号が与えられ行動可能時間が伸びていく。逆に行動可能時間内にベッドで眠ることが出来ないとゲームオーバーになり、セーブポイント(前回ベッドで眠ったところ)からやり直しになる。
 
 リスナーからの「ラブは何に使うんですか?」というコメントに対して、社長が「ラブは使うものではない」「抱き締めるだけ」と返答したのが印象的。
 実際、主人公が得たラブは消費するものでも、誰かに与えるものでもない。ただ月の女神に「よく集めましたね」と褒められ、ランクアップするだけである。
 
 また、キャラクターから得られるラブも千差万別。
 恋のキューピッドをして得られる実に真っ当なラブもあれば、「自然を壊すな!」と怒鳴られて得られるラブ、「次に飛んで来る鳥は何色か」を当てるギャンブルをパーフェクトにクリアして得られるラブもある。社長も時々「これってラブかなぁ?」と首を傾げることもあるが、きっとあれもそれもラブ。

おばあちゃんの無償のラブ

 ゲーム冒頭から出会う、この世界にやって来た主人公を自分の孫だと思い込む「おばあちゃん」。その孫は事故で死んでしまっているが、主人公を見て生きていたと思い込んでいるのだが、実際はもっと悲惨な事実があることがゲームを進めると分かる。
 だがこのおばあちゃん、主人公にベッドを明け渡して自分は椅子で寝ていたり、毎日クッキーをくれたりと、初っ端から涙腺を壊してくる。
 社長も早々に「こういうの弱い」と言っていて、何かとずっと気にかけていた。
 
 この世界では、基本的に何かしないとラブを貰えない。相手の望む物を持って来たり、何度か会話をしたり。
 だがこのおばあちゃんは初手で愛を向けてくれる。ラブが発生するのはイベントをこなしてからなのだが、その前からクッキーという形でずっと愛を渡してくれるのだ。
 
 だがそれが仮初のものであることをプレイヤーは分かっている。そしていつか別れが来ることを予感する。
 主人公はおばあちゃんの本当の孫ではない。主人公には帰る場所がある。そしておばあちゃんの孫も恐らく帰って来ることは無い。だからいつかおばあちゃんはまた1人になってしまうのではないか。
 或いは、老人という立場である以上、あちらが先に逝ってしまう可能性もある。実際病気になるイベントでは大変冷や冷やした。
 社長のことなので、恐らく冒頭の時点でこれらを察したのではないだろうか。もしこんな優しいキャラに悲しいことがあったら泣いてしまうかもしれない、と。
 
 だが最終結論から言うと、そんなことはなかった。この物語はもっとずっと優しかった。
 それがはっきり表現される訳ではない。だが「こんなエンディングになったということは、おばあちゃん(と孫)はこうなったんだろう」と幸せな想像が出来るものだった。
 主人公とおばあちゃんが別れなかったどころではなく、その大本となる「別れの原因」が発生しないものだった。
 まさにアンチゲーム。あるひとつの物語の消失が、別の幸福を生んだ。
 
 けれど社長は最後の最後、もう一度「Continue」をした。物語が終わる前へと戻って行った。
 そしておばあちゃんの家に行き、エンディングに込められた開発者からのラブについて考察する。美しい『月の光』のピアノと、おばあちゃんの眠るロッキングチェアーの音、主人公の隣で骨の夢を見る犬のタオ。
「よく寝なさい」と社長がウインクし、全員集合のサムネイルが表示されて音が段々とフェードアウトする締め方は、ここまでがひとつの作品のような美しさだった。
 永遠に続く、全てのラブを回収された平和な世界。これもまた、ゲームの終わり方のひとつなのだろう。そこには眼には見えなくても、31個目のラブがあった。

「諦めない」ということ

 社長は正直ゲームがあまり上手くないと私は思っている。
 正確に言うと、「タイミング良く何かをする」「素早く動かす」「法則性を見出す」などが若干苦手なのかなと思っている。所謂キャラコンと呼ばれるやつや、UIやルールやセオリー把握の速度が該当する。
 その一方で、根気と長期記憶はかなり長けていると思っている。死にゲーでなかなか心折れなかったり、膨大なカードについての知識豊富な面がこれに当たる。
 
 今回のmoonでもこれが遺憾無く発揮されているように思えた。
 ラブの中には、激ムズミニゲーム「ジンギスカン」、運ゲーと操作性の両方を求められる「釣り」、ひたすら運と試行回数を要求される「鳥の色当て」といった高難易度のものがある。他にも発生条件が分かりにくいものもある。
 正直見ている方としては、「それは出来なくてもいいんじゃね?」とも思っていた。別に全てのラブを取得しなくてもクリアは出来るし、裏でやってもらってもいいと思っていた。
 
 だが社長は途中で少々心折れながらも、途中から攻略本を片手に「全ラブ取得」を達成した。「これがわたくしから皆様へのラブ」と言って全てを見せてくれた。
 かつて、あれは『ダークソウル』の苗床だったか。社長も心折れかけた場面があった(その後もあそこは心折れポイントだったと語られている)。だがその時に「皆様が見てくれているから続けていられる」というようなことを言っていた気がする(うろ覚えなので別の場面かもしれない)。
 ただのリップサービスかもしれないが、そう言われたらリスナーとして、嬉しくならない訳がない。
 
 そんな社長だから、"あの"選択肢で「YES」と即答したのは当然なのだ。通常、あれは「諦めませんよね?」という問いなのだから。
 それまで正解が散々示唆されていたとしても、「足りない」と言われたら足りるまで挑戦し続ける、加賀美ハヤトはそんな人だ。
 配信テンポを気にしてはいたが、それでもあの流れはmoonというゲームを味わい尽くす為には必要だったと思う。
 
 一発でゲームが用意した正解を引くようなお利口でもないし、ましてや親の言うことなんて聞かない。そうとも捉えられる、実にロックな展開とも言えよう。
 それにもしかしてもしかしたら、誰も知らない第三の選択肢もあるかもしれないのだから。己の道を突き進むのは素敵だと思う。

「扉を開ける」ことの意味

ここからガチでエンディングのネタバレ

 アンチゲームのテーマの通り、このゲームは「テレビゲームなんかやめて外に出なさい」で幕を閉じる。
 積み重なっていた基盤(奇盤)は、大量にリリースされ、大量に売れ、プレイヤー本人が買って所持している他ゲームタイトルのことを指しているのだと思う。社長も言っていた通り、moon発売当時は名作だらけであり、moonは案の定文字通り埋もれる形になっていたと推測される。
 その基盤が消え、扉が開き、外の世界へと出て行くエンディングはゲームとの別れや卒業を思わせる。
 
 だが、エンドロールではムーンワールドの住民達が現実世界に現れていた。
 これは「ゲームはゲーム、非現実的なことに浸っていないで、夢から醒めて現実を見なさい」という意味ではない。
 寧ろ逆で、「素敵な物はゲームの外にもあるよ」「現実でも夢を見ていられるよ、楽しい物は沢山あるよ」「ほら、そこにもあの時のあいつが居るだろう?」と言っているのではないか、と思った。きっと私は海や空を見たら、トットテルリやサドマイルを探すだろうから。
 
 社長の言う通り、「ゲームばっかりしないの!」は親のラブだ。
 例えばゲーム作りの現場においては、実はゲームばっかりしていた人よりも、ゲーム以外の趣味の人の方が好印象な場合が結構ある(私は昔小さいゲーム開発会社に居たことがある)。
 正確には「知識の幅が広い」「コミュ強」「体力がある」とかなので、ゲーム好きでも全然条件を満たす人も居るのだが、「ゲームばかりではなく、それ以外もやってる」人の方が得てして強い。
 最近だとゲームとコミュニティは地続きなことが多いし体感型も増えているので少し事情は違うのかもしれないが、社長と同年代の身としては、これが親の愛というのは非常に頷けた。
(勿論私も親にそう言われていたし、言い付けを守らずゲームばっかりしていたし、その結果今は引きこもり自堕落生活をしている)
 
 ゲームから離れて、それでもゲームの夢を見て、こんなゲームがしたいと思って、好きな物を詰め込んで出来たのがこのmoonというタイトルなのだと思う。
 アンチと言いつつゲームが好きだという、そんなラブを感じる、まさに「愛のゲーム」だった。

加賀美ハヤトの感性が好き

 社長のどのゲーム配信でも言えることだが、社長は基本的にゲームを貶すことは無い。
 悪どいキャラに「わっっっる(巻き舌)」と言ったり、倫理的にぶっ飛んだキャラに「やめろぉっ!」「それは駄目だ!」と叫んだり、ヤバいキャラに「そうですか……」とドン引きしたり、モヒカンに「何だァテメェ……!?」と敵意を剥き出すことはあれど、それを完全に否定したり馬鹿にすることは(あまり)無い。
 どんな展開でも1回「あの人にとってはこうだったのかも」「こういうつもりでこうするしかなかったんじゃないか」と、相手の気持ちに立った考察を挟むのがとても上手いし大人だなと思う。
 
 物凄く客観的でありながら臨場感もあり、感情表現豊かなのもよい。
 非情な脳筋ゴリラか何かと思われているのか、何故か一部リスナーから驚かれているが「泣きそうになる」ことも実際結構ある。
 人情物に弱く、純粋な恋愛沙汰も比較的素直に応援する。ワンダとフローレンスのラストシーンの反応、最高だった。
 
 その感受性、人間味の豊かさは見ていて楽しいし、社長がどのようなシーンでどのような反応や考え方をするのかもっと見てみたくなる。
 勿論やたらと豊富なボイス当てや鋭いツッコミも楽しい。FunnyもInterestingもExcitingも、全部の面白さがある。
 それらをひっくるめて加賀美ハヤトが好きだ、と改めて実感する配信だった。
 
 なお、毎回の最終回後のポスト(ツイート)も好きだ。
 今回は「歪ながら美しく、そしてあまりにも赤裸々な「ラブ」のゲームでした😌今日は少しだけ早く寝てみましょうか。」だった。
 あの美しいフェードアウトからのこれである。あまりに上手い。

次の話と記録することの意義

 そうこうする間に社長の次の配信告知が来ている。
 moonとの繋がりもある(制作スタッフが同じ)の『スーパーマリオRPG』だ。
 こちらも以前配信していた時に、社長ともちょっと繋がりが感じられるストーリーからの最後の台詞「星に願いを」で痺れたタイトルだ。今回既にリメイク要素に感動しているが、エンディングでどうなるか楽しみにしている。
 
 そして同時に、このテンポで進むだけなのは勿体無いとも思っている。
 社長を見て感じたこと、ゲームに対して思ったことが本当はもっと沢山ある。それを出来たら他の人にも知ってもらって、社長を見てほしい。
 いつもツイートで済ませてしまっているけれど、もっとちゃんとした記録に残しておいたら、ふと流れ着いた人にも分かりやすいんじゃないか。そう思って記事にしてみた。
 
 今後もやるかもしれないし、やらないかもしれない。予定は未定なのだが、「激しく同意」「いや、俺はこう思ったね!」などなど、反応を頂けるとテンションが上がる。良かったらRTもして下さると幸いです。今後共何卒宜しく。
 
2023/11/21 夕星

感想文ゲーム実況

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