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最終更新:2020/05/11 13:24

加賀美ハヤトが好きです。(挨拶)

2020年5月9日20時45分、『WITHIN』フルMVがプレミア公開されました。
これがとんでもない代物だったので紐解きます。毎度ながら長いです。
忙しい人は4分22秒だけ時間をください。下の動画の再生ボタンを押すだけです。後は最悪読まなくてもいいです(本気)。
なお当然の如く独自解釈なので、「オタクが色々こじつけてーら」と緩い眼で眺めて下されば幸いです。

『WITHIN』の歩み

潜在株主はご存知でしょうがおさらいです。知ってる方は次のセクションまで飛ばしていいです。オタクは話が長いんだ。

『WITHIN』はにじさんじ所属バーチャルライバー兼加賀美インダストリアル代表取締役・加賀美ハヤトのオリジナル曲として、その初配信(2019年7月6日)のラストで初めて流されました。
初配信でリスナーに与えたのは、低く丁寧で落ち着いた口調、ホビー好きで段取りも良く、既にエンターテイナーの鱗片を見せるイケメン若社長という印象。しかしその最後にお出しされたのは、いわゆるデスボイスを伴うロックでした。ギャップもギャップ、大混乱に陥るコメント欄を尻目にさっさと終わりの挨拶をして初配信は終了しました。

その3日後、初配信で流されたMVが単体動画として公開されました。
それから10ヶ月間「社長のたったひとつのソロ歌動画」として存在し、ショート版ながら現在97万再生となっています。
(ちなみに初配信版と少しだけ違う点がありまして、フルMV版だと上手いこと2つがマージされてます。もーすぐそういうことするー……!)

その後「フルは出ないのか」と言われ続けてきたこの曲、2019年の末に「もう出来ているが良いタイミングがあるのでそこでお披露目する」という旨が表明されます。
その舞台が第2回邦ロックリレー配信即ち2019年冬にじロック(2019年12月27日)です。
まさかのフルバンド+PAと共に、すっかりおなじみとなったELLEGARDENにKiLLiNG ME、鍋ラップを混入させたマキシマム ザ ホルモンなどを歌い上げた社長。またファーストアクトにしてテンションをぶち上げさせた配信のラストで遂にWITHINフル版が初公開となりました。

但しこの冬にじロ、後に社長が「失敗だった」と語るものとなります。
その理由はご自分でお確かめ頂くとして、更にお出しされた歌詞の破壊力に当時の私の感情はぐっちゃぐちゃとなりました。詳しくはこちらをご参照ください。

その後「フルMVは出ないのか」と言われ続けたこの曲(デジャヴ)、次にお目見えするのは何とライブの場でした。
Zepp福岡ことにじさんじJAPAN TOUR 2020『Shout in the Rainbow』福岡公演(2020年2月13日)。
剣持さんとクロノワと社長という、男性のみ4名で固められた公演は「見る者全てを雌にする」「イケメン回転寿司」「玩具会社の社長は見る者を玩具にする」と言わしめたほど。その4曲目、無料パートの最後に3D初公開という武器を伴った楽曲こそが『WITHIN』でした。
歌唱は勿論そのパフォーマンスはパーフェクト。こちらも詳しくは感想文を書いていますのでご確認ください。
(ちなみに2020年5月13日までダイジェスト配信もやってるのでまだの人は是非見てください)

このライブ版はにじロック版と歌詞が一部異なっており、最後のシャウトも変更されています。
今回公開されたフルMV版の歌詞はライブ版と恐らく同一となります。つまり曲としてはライブ時点で完成していたと言っていいでしょう。

そして偶然にも登録者数20万人を達成したその日、公開されたのがフルMV版です。
社長のツイート曰く「ボーカルトラック全編録りなおし/ベースを生演奏に/MIXとマスタリングのクオリティアップなどなど行った完全版」。
確かに歌い方はにじロック版ともライブ版とも異なっています。が、今回は歌詞と動画を中心に紐解きます。

歌詞と動画を読み解く……為の下準備

まずは全文を確認した上で解釈を試みます。


正気とその崖下 潜熱の彼岸
渇望の夕暮れ 全てをその内に

虚しさの虚に沿うように
キミの刑を科さないでよ
枷付きの白い首元 噛み千切って

「そうあれ」と「誰が為」と カナリアを染めてく
DAWN OF MIND
DO NOT SAY "BE YOURSELF"
戻れない情景 縛られないもの
言葉だけでは 裁けぬもの

重ねないで名付けないで この声の在り方
「偽善」や「罪」じゃない こころの全て
清濁も賢愚さえも 置き去りにして
羽擊かせて その檻から見えぬように

背筋に這う影のように キミの目をまた嘲る
No need for hemostasis
後悔はない ただ報われずとも 奏でて

「満たされないのは、誰のせいなの?」

造花の園で咲き続ける事
日差しに向かい折られずに在る事
今誰に踏みつけられたとして
この音だけは否定させない

重ねないで名付けないで この声の在り方
「欺瞞」や「意味」じゃない わたしの全て
啓かないで導かないで 暗がりを愛して
祈らせて この造花が枯れるまで。

YOUR TRUTH and MY LIE.
All it is WITHIN


まず前提条件として、ショート版以降(「背筋に這う影のように」から後)の歌詞は最初は存在しておらず、ライバーとして活動し始めてから書いたと言っています。
更ににじロックからライブの間で変わっている辺り、一度発表した後も微調整を加え続けたと分かります(ライブで初公開されたもうひとつのオリジナル曲『PIERCE』もギリギリまで直していたと語っています)。

更に更にこの曲を読み解く上でPASH!のインタビューがひとつの答えを示しているで事前に読んで頂きたいのと、可能ならにじロックの振り返り配信アストレイノワール組み立て配信も視聴してきてください。非公式wikiの名言集も参考になるかと。
最後に作曲者ぎゃぷいちさんの「聴く名刺」という証言が入って材料が整います。

端的に言えば、これは「加賀美ハヤトという存在を、聞く者に突き刺す為の歌」であり、狭い鳥籠の中から出ようとする歌であり、暗がりを抱えながら日差しを目指す者の歌でした。
想像以上に沼。いや沼なの知ってたけどめっちゃ深い。やばい。(語彙力)

実際に読み解く

最初に語られるのは渇望と束縛、そこからの脱出。
父親が企業の代表取締役で、ゆくゆくは己がそれを継ぐこと。或いは代表取締役となった後、歌うなと社員達から止められたこと。或いは何かしらの別の刑を科され、枷を嵌められた。
誰かの為にと託された願いは、歌の上手い小鳥を別の色に染め抜いて鳥籠の中に閉じ込めた。
この辺りは動画でも姿の全容が見えなかったり、シルエットだけだったりと「形はあるが詳細不明」な存在となっています。

けれど「渇望の夕暮れ」から「DAWN OF MIND=心の夜明け=意志の始まり」へ。
「DO NOT SAY "BE YOURSELF"=『お前らしくあれ』と言うな」と吼えて、先の情景へと突き進む。
ずっと推測のままだった反抗が実際にあったと、「親の反対を押し切ってでも始めたことがある」という証言が得られたのがまさかプラモ組み立て配信だとは思いませんでした。

1番サビで歌われる「この声の在り方」。
それは「こうすれば役立つ」という善行を偽ったものでも、それ自体が罪でもない。
二者択一の判断すらも求めず、ただ己自身の赴くまま、他の誰でもない存在として在る為に、檻を出る為に鳥は羽擊く。
このパートの加賀美ハヤトは光を背にして俯き、歌ってもいません。
それは一見失望や落胆や諦観のようだけれど、実際はこれから足掻くところなのだと思います。暗がりの中でもその眼には光があるから。

「背筋に這う影のように キミの目をまた嘲る」。これ。ここだけ、まだ確証ある答えが見付かりません。
ただ次のフレーズが「No need for hemostasis=止血は要らない」。
怪我をしても手当てせず、後悔も無く報われなくてもただ歌い続けることを選んだ。これは積極的に挑戦し怪我していく加賀美ハヤトの姿勢と完全に一致します。でもそれを見た「キミ」はどう思うのか。
「キミ」がドン引きする様子を、自らが背負った影にいつもされているように嘲ったのか。
痛々しい姿から目を逸らした「キミ」の背中に対し、そんなもので見限るとは見る目が無いと嘲ったのか。
割と後者かなと思わなくもないですが、加賀美ハヤトが嘲る(=他人を馬鹿にする)イメージが無いのでどうにも疑問です。彼はそれより先に相手に対する興味を失いそうな気がする。
そしてここから、加賀美ハヤトの姿は映像に存在しなくなります。「奏でて」の声は遠く、ただあるのは黒い花のシルエット。

満たされないのは誰の所為か。そもそもこれが誰の台詞なのかすら疑問ですが、自問自答かなと思ってます。
それはきっと自分自身の所為。加賀美ハヤトは欲張りで、どこまでも上を目指し続けようとするから。最高を更新し続けようとするから。「最高」とは「過去の中で最も高い」というだけであり、本人はきっと今も昔も満足なんかしていない。
動画だとこのシーンはそれまで辛うじて差していた光が完全に無くなるのが印象的。周囲からの声は届かず、繰り返し繰り返し閉ざされたままの鳥籠の中で問う。
籠が複数あるのは、同じように渇望しながらも出て来られない者が大勢居るからかもしれません。
(なお籠の数がこれまでの歌動画の数とか一緒に歌った人の数という情報もありましたが未だしっくり来るものは見付かっていません。籠の数→11個、歌動画→13本(この動画自身とPtM試聴版を含むなら15)、歌コラボ相手は11人だがその場合社長の立ち位置不明)

そして辿り着くのは造花の園。
暗く、けれど広い"箱"。様々な風景が描き出されるステージ。その中心にある白い花。
造花とはバーチャルライバーそのもののこと。アイドルがスポットライトの下で輝くように、いつか本物の太陽の下を歩けるように、ライバーとしての加賀美ハヤトが形作られる。
それは加賀美ハヤトが創り出した最高の商品であり、エンターテイナーであり、決して折られること無く日差しへ向かう者。
「この音だけは否定させない」という決意と共に、鳥籠は開かれる。そして溢れる光。

2番サビで歌われる「この声の在り方」。
2.0で歌い上げる姿は、誰かを騙すものでもなければ何か特別な意味のあるものではない、「わたし」——加賀美ハヤトの全て。
誰かに教えられることも先導されることも断り、ただ「暗がりを愛して」と願うのは、きっとまだ逆光だから。日差しに"向かい"立っているだけであり、その下に立っているのではないから。簡単に表には出せない造花の作り手としての側面が存在しているから。
でも「造花が枯れるまで」とは逆説。「造花は枯れない。だから造花なんです」と彼自身が語ったから、それは永遠です。
何を祈るのかは定かではない。誰かが愛してくれることをか、この在り方を続けられることをか、それとも。
ただここでの加賀美ハヤトは檻を破壊し、光に向かっています。まだ鳥籠から出てはいないけれど、磨き続けられた花は美しく金色に輝き、これからそこを出るのでしょう。
もしくは、鳥籠の扉は開いている=破壊されていないのですから、ここで破壊されているのは取り残されていた他の檻、或いは「こちら側」の檻かもしれません。

「YOUR TRUTH and MY LIE. All it is WITHIN=貴方の真心と私の在り方。全てをこの中に」。
そう告げる歌を掲げながら——鳥籠から出た先が光が差すだけの箱の中だったとしても、加賀美ハヤトはいずれはそれすらも乗り越えてしまうんじゃないかと、私は期待しています。

もうひとつの側面

※いわゆる「中の人」に基づいた解釈につきご注意ください。
 いつもはやらないけど特例ってことでここはひとつ。

問題無い方は続きを読む

初配信の時から言われていた「中の人」の名前。チャット欄を見る限り、やはりその露呈は歌が確定的だったようです。
それは彼だって当然想定内。だからこそこの曲を用意していたのでしょうが、初配信中、曲を流す直前にしていた呼吸は最後の覚悟を決めたようで私は結構好きです。
そしてこれから書くのは、私が加賀美ハヤトを追う中で偶然得てしまった情報を元にした、あくまで想像です。
 
曲中に出る「キミ」。加賀美ハヤトの立場を縛ろうとする大人達と考えるにしてはあまりにフランクなこの表記は、「視聴者」と想定すれば合点がいきます。
元居た世界から似て非なる世界へと向かった彼への非難。或いは、別の世界からこちらの世界へ来た彼への罵倒。そうでなくたって彼と加賀美ハヤトを同一視する人や無闇に何かしてくれと願う人が必ず現るからこそ、それを断る為に「重ねないで」と先手を打った。
元の場所から見えないぐらい置き去りに出来るように用意されたのがこの曲で、その恩恵はとても大きい。訝しむ者や面倒な相手には「WITHINを聞け」と言えばいいのだから。
ここまでは、彼が加賀美ハヤトになる前に用意されていた武器。
 
その後綴られるのは加賀美ハヤトとなった上での言葉。
加賀美ハヤトはその背に居る己の影のような彼——若しくはその逆——のように、視聴者の目を嘲る。一言では括れないその混沌を上手くあしらう方法をきっと彼は知っている。
その一方でかつてあったのは黒い造花への、或いは造花の園への渇望だった。そこへ向けて奏でたことに後悔は無く、罪でもない。報われなくともよかったが、流血も厭わない覚悟だったのだと思う。
けれどもしかすると、彼を基準として見た場合は「満たされない」理由の候補がもう1つ追加されたのかもしれない。ただそれは少々邪推が過ぎるのでここには記載しない。
 
何にせよ辿り着いた花園に咲くのは皆偽物、作り物だ。当然それは最初から知っている。そこで自らも咲き続け、日差しへ向かうことを彼は願った。
誰に叩かれようが、文句を言われようが「この音だけは否定させない」。
指示などしないでいい、ただ加賀美ハヤトと、それにまつわる暗がり——不都合な真実を愛してほしい。
造花は枯れないとしてもいつか唐突に壊れてしまうかもしれない。造花自体は枯れなくても、それを作る者が枯れてしまうかもしれない。だって人間だから。でもせめて、それまではと祈っているのだとしたら。
 
「YOUR TRUTH and MY LIE. All it is WITHIN=キミの真実と俺の嘘。全ては加賀美ハヤトの中に」。
そう告げるこの歌を掲げながら——黙っていることも濁すことも出来た筈なのに、わざわざナイフとして突き立てに来た彼の姿勢を、私は誠実だと思います。
 
(2020/05/11追記)
別件で「啓蒙」という単語を思い出して気付いてしまったのですが、「啓かないで導かないで 暗がりを愛して」とはつまり「啓蒙しないまま(=真実を知らないまま)愛して」ってことだったりするかもしれない。
(啓蒙=無知の人に教え、その目をひらいて、正しい知識に導くこと、物事を明らかにさせること。原義は暗いものを明るくすること)
そして何も知らなければその人にとってはそれが真実だから「YOUR TRUTH」も成り立つ。
 
しかもにじロックの時はこの部分は「教えないで導かないで」だったから、「啓く」の方が的確であると意図して変えられてるのは確実で……社長は学ぶことを推奨してるから本来ならばそれを否定することは無い筈で……
そして「何を」知ってはならないのか……単に中の人の存在についてか、それとも……
 
…………やばい。暴いてはいけなかったかもしれない。どうか私やこの記事が消されても皆様は社長のことを好きなままでいt(ここで文章は途切れている)
 

そして、これから

プレミア公開に伴い、加賀美ハヤトはTwitterトレンドに入り、約6時間で9.6万再生されています。いずれはショート版共々ミリオンへ至るでしょう。
この曲は紛れも無く加賀美ハヤトの歌で、名刺です。これから多くの人々がこの動画を見て、顔も声も良いこの男に惚れて、通常配信とのギャップに悶え、どんどん沼に嵌まり、登録者数30万人を達成する日もいずれは来るでしょう。
その過程でこの文章を読んだ人も居れば、何故か全く知らない状態でこの文章を読んで、ここから潜在株主になる人も居るかもしれません。

どちらでも構いません。私はただ加賀美ハヤトが好きで、たった1曲でこんなにも奥深く妄想出来る作品が公開されたことを嬉しく思うと共に、酔わされるがままにその感情を書き留めただけに過ぎません。
ただオタクは自分の作品が褒められると嬉しいし(社長がそうであるかは定かでないですが)、推しについて語られた文章を読みたがるいういつもの理論に基づいて書き殴りました。

これからも加賀美ハヤトは解釈一致とその超越を続けることでしょう。
『WITHIN』がナイフだとしたら、『PIERCE』はその名の通りの槍となるか、はたまたそれをも通り越してライブで感じたアイアンメイデンの再来となるか。
『クロウ』も気になりますし、恐らく社長のことなので「その次」も企んでいることでしょう。
情勢的にはとても辛く苦しいけれど、だからこそのその世界を社長が彩ってくれてとても嬉しいです。

いつもありがとうございます。熱狂をぶつけて申し訳ありません。
今後も社長の行く末に光多からんことを祈っております。

……さ、もう1回聞いて寝ようかな。

感想文WITHIN

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