→6月13日追記:MVが公開されました!最新の感想文はコチラ(この記事を読了後の参照推奨)。
にじさんじの3周年を祝うイベント「にじFes2021」。
この2日目に行われたVACHSSステージで加賀美ハヤトのオリジナル新曲『トレモロムーン』が発表されました。
見てください。3/11(木)23時59分まで誰でも無料で見れます。チケットもタイムシフトも要りません。この記事読む前にまずは一度見て頂きたい。もう、もんのすごいから。
ちなみに社長は昨年11月に鼻の手術(と書いてアップデートと読む)を行なってまして、歌声はパワフルさを増し、キレッキレのパフォーマンスは勿論健在。その結果がコレでございます。更に圧巻の前夜祭も何卒宜しく。こっちはFLOWと一緒に飛んだり跳ねたり炎出してるよ!
概要と歌詞
今回はZepp福岡の反省を生かし(?)、最初に「新曲です!」と言ってくれてます。
オリジナル曲をライブで発表するのはこれが2回目って点で何かがおかしいんですが、まぁ知ってた。社長はそういうことするって知ってた。だから割と驚かなかったさ。泣きはしたけど。
作詞作編曲はボカロP「buzzG」さん。ただそれが発表されるまで作詞は社長だと思ってた(随分表現がストレートだなーとは思ったけど)なぐらい、「加賀美ハヤトらしさ」がある曲でした。
内容は割とシンプルで分かりやすいかな?と最初は思ってたんですが、考え出すとなかなか興味深い曲だったので感想交えて考察書いておきます。
ただ勢い重視なのと1リスナーの考えなので全く確定でも何でもありません。皆様のご自分の印象や解釈最優先で何卒宜しくお願いします。あと勢いに任せているので後で改訂入るかもしれませんのでご了承をば。(あと一部歌詞聞き取り怪しいです)
鮮やかに見えて眩しくて 今すぐ向かうから
こんなにも微かで不確かな光だけど
それは太陽の灯を借りる物語
私の全てを映す鏡のように ah
摩訶不思議な引力に導かれて
纏ったカルマに綻びを乗せるよ
取り残された情熱の正体は
儚くて消えそうな揺らぐ月
あまりにも遠くて青くて それに焦がれては
真っ暗で地図も無い形も無い時空を駆けて
借り物の光 きらめき 君に伝えては
幾千の返せない果たせない理由を紡ぐ
転がりだした時代で 涙の降った世界で
どうすればいい 繋ぎ止めたい この声で
誰かに行く先を委ねるぐらいなら
今すぐ喉元を掻き切ってやるさ
この手に宿る青い炎の正体は
全てを拾う為の揺らぐ音
この星の鼓動 瞬き どんな命でも
綺麗じゃない美しさを信じていたいのさ
積み重なった轍と 静かに燃やした瞳で
何を見よう 共に歩んでくれないか
見詰め合うように 求め合うように
ふたつの光は溶けて
君の心にとっての 何かであり続けたいと願った
鮮やかに見えて眩しくて 今すぐ向かうから
あまりにも遠くて青くて それに焦がれては
真っ暗で地図も無い形も無い時空を駆けて
借り物の光 きらめき 君に届いてよ
誰にも奪わせない音を
転がりだした時代で 涙の降った世界で
聞いてほしい どこに居たっていいんだぜ
燃え尽きても 忘れないから
トレモロムーン
あまりにも遠くて 何より青くて
「月」と「君」とは誰なのか
にじさんじで「月」と言えば特別な意味を持つ訳ですが、意外にもこれまでの2曲では含まれていませんでした。なので満を持して今回タイトルにも入れてきた辺り成程なーと最初は思ってました。
まず月と言えばご存知委員長こと「月ノ美兎」。第1期生であり多くのライバーさんが委員長を見てにじさんじに入ったとも言われており、尊敬や憧れや親愛の対象として多くのライバーさんのオリジナル曲でも歌われています。
そしてもう1人可能性がある「月」が「卯月コウ」。社長のデビュー時発表曲『WITHIN』は、このうづこうさんのオリジナル曲『アイシー』に感銘を受けて公開前に大幅リニューアルが入っています。この『アイシー』の中で歌われている「月」こそが委員長なのですが、社長ならばその2人を曲に取り入れている可能性は多いにあると思います。
が、「月=委員長やうづこうさん=君」とするとあんまり意味が通らない。
「儚くて消えそう」は(うづこうさんにはちょっと掛かるかもしれませんが)恐らく委員長には掛からないし、「青」は(委員長の衣装色が近いですが)うづこうさんに掛からない。
そして全体的に歌詞を読むと「君=リスナー」と見る方が自然です。
自分はエンタメであると社長が常々言っている部分は「君の心にとっての 何かであり続けたいと願った」に掛かりますし、「転がりだした時代で 涙の降った世界で」は今の苦しいことや悲しいことだらけの世の中と重なります。
となると、月とは社長のことなんじゃね?というのが私の解釈。
委員長やうづこうさんと同じ「月=ライバー=私」であり、それを踏まえて「君=リスナー=地球に居る人」とすると、全部話が通じるなぁと思うわけです。
勝手に読み解く今回の物語
摩訶不思議な引力に導かれて、にじさんじという太陽の光を借りて、本来存在する私人・加賀美ハヤトを鏡に映したようなバーチャルライバー・加賀美ハヤトは作り出された。
「纏ったカルマに綻びを乗せるよ」は時には失敗もするよ、完璧ではないよといういつものアレ。カルマは「宿罪」のような意味合いで使われがちですが原義は「行為に伴う結果」的な内容っぽいのでまぁドンピシャ。
恐らくこれまで代表取締役をしている間も「取り残された情熱」があって、その正体は「儚くて消えそうな揺らぐ月」=まだ力の無いライバーとしての自分、と見るとまあ合うよねと思うわけです。(いやもう一定の力ありますがなと思わなくもないですが、社長は謙虚なのでこの表現でも分かる)
あとこの「揺らぐ月」。この「揺らぎ」こそが「トレモロ」なので、ここでもうタイトル回収です(第1稿ではここ見落としてたので改訂)。トレモロは音楽の技法として有名なんだけれどもイタリア語の「振動、ゆらぎ」なんで和訳したのが複数箇所でちらちら差してある訳ですね。オシャレ。
「あまりにも遠くて青くて それに焦がれては」はぱっと見では「地球上に立っている私(社長)が遠く離れた青い月に焦がれている」ように思えるのですが、社長が月と仮定した場合。
月(=私)から見るとあまりにも遠くて青い地球に焦がれて、真っ暗な時空を駆けて、にじさんじの光を君(=地球上のリスナー)に伝えよう。クソみたいな今の世の中でもこの声で楽しませたい。……というのが、ライバー活動に思いっきり被るよねっていう。
社長が我儘で道楽家なのはご存知の通り。自由に出来なきゃ自害する度胸は解釈一致。
「この手に宿る青い炎」は色々な解釈できますが、社長が炎を宿しているイメージは納得がいくところ。ボルホワ先輩も呼んだし情熱家だし分類するならきっと火文明、前夜祭でも炎出してましたし。更に青い炎は赤よりも高温な上にカッコイイ。超大事。クールっぽいけど熱いってイメージいいよね。
振り返り配信曰く、色々やりとりする中でbuzzGさんが青い炎を見出したと聞いて、良いねぇ……としんみりきました。良いねぇ……
2番サビの「この星の鼓動」の「この星」はまんま地球のことかなと。
私大体ぼくのなつやすみ実況の度に「社長は世界の汚さと美しさを知っている」と提唱し続けてまして、その意味合いっぽい表現が来てテンション爆上がってます。清濁併せ持ちながら、それでも世界は美しいと言える人。この辺ちょっと聞き取り怪しいですけどこんなニュアンスだったらいいなと。
続く「轍」は世界の歴史、にじさんじの歴史、あなたの歴史を踏まえてる感じですかね。
「共に歩んでくれないか」といい、その後の「光は溶けて」といい、社長とリスナーの繋がりというか並走感が感じられます。
いつもリスナーのことを見ていて、リスナーが居て良かったと度々言ってくれて、色々なことに配慮してくれて、リスナーの「何か」になる為に音を届けてくれる社長。
泣くぞ。潜在株主はもう泣くぞ。
光も音も届いているとディスプレイ越しに伝えたかったです。ありがとう社長。
「どこに居たっていい」はどんな風に推しててもいい、好きな所だけ見ればいいって表れですかね。
「燃え尽きても」はいつかその時が来るかもしれない自分のことか、はたまた追う情熱の途絶えてしまったリスナーのことか。
それでも忘れないと、揺らぎ続ける月、繰り返し繰り返し何度でも音を紡ぎ続ける月、「トレモロムーン」であるという名乗り上げ。ここでタイトル持って来るの超良い。オタクはタイトルをバーンと出されるのに弱い。
私達──ライバーとリスナーを隔てる時空はあまりにも遠い。
社長も、リスナー達も、インターネットの世界も、きっとまだ未熟であるという意味で青い。
「それでも」と言い続ける為の歌、借り物でも光を届け続ける決意の物語、滅茶苦茶好き。
そうでなかったとしても好き。かっけぇよ。今回の社長も最高を更新したよ。
余談:「青」にまつわるエトセトラ
振り返り配信曰く「青い炎」が重要ワードっぽいので「青」に纏わる話を雑学兼備忘録的に置いておきます。今回の歌詞に大きく関わっているとは限らない(寧ろ関わってなさそう)ですが参考までに。
既にちらっと書いてますが炎で言えばより酸素が多く(丁度よい量)供給されてよく燃えている状態、赤い炎よりも温度が高いのが青い炎です。炎色反応だとカリウム・銅・リン酸アンモニウムなどが青に近い色(紫〜緑)になります。
その他自然界では空と海の色。月が青みがかって見えるのはレアな出来事ながら実際にあるとのことで、ここから英語のブルームーンは「極めて稀」な意味として用いられます。
また、花としても珍しい色であり、「青い薔薇」は「不可能・幻」を表す言葉となっています(現在では遺伝子組み換えにより青い薔薇を作り出すことに一応成功はしていますが、実際の見た目は淡い紫色をしています)。今後造花と絡めてくるかもしれないので覚悟しておこうね!
古代ローマでは青は喪服の色、ケルト人やゲルマン人などの野蛮さを象徴する色。中国でも「人のものではない」という意味合いを持ち、世界各地で「神秘・異世界・死」のイメージだったようです。
ですが時代が下ると聖母マリアの象徴の色となり、「神聖・魔除け」の意味合いが強くなる様子。「海の星の聖母」「ステラ・マリスの聖母」とは聖母マリアの古来の呼び方であり、海を旅する人や海で生計を立てる人たちの案内人にして守護者であった為、海の青さがマリアのイメージへと繋がったと思われます。
なお「不思議の国のアリス」の服が青いのも魔除けの為と言われていますが確実な情報不明。初出では黄色であり、今の鮮やかな青色のイメージを定着させたのはディズニー映画とされています。
日本語的には前述の「未熟である」という意味の他、「顔に血の気がない。赤みが足りない」の意味でも青が使われます。
赤は血液や炎や太陽など活動を示す色、青はその対比となるので死や停滞のイメージが付いたのかなとも思ったりしてます。
ちなみに日本語では「青白い馬」と訳される馬に乗ったヨハネの黙示録の四騎士の4番目が示すのも「死」なのですが、こいつはギリシャ語のchloros(緑)→英語のpale(青白い)となったようでして、翻訳者によっては緑・白・灰色とも言われるそうな。
青と緑の違いとか同一性を言い出すと更に長くなるのでやめます。奥深すぎるんよこの辺。
あと色の話じゃないですがそのものダイレクトな島本和彦氏の漫画『アオイホノオ』もちょっと掠めてるのか?どうなんだ?と思ったりもしてます。社長も話題には出してたし有名作品なんでまぁ普通に読んでそう。
漫画家を目指す芸大生の青年とその周囲の人物を描いた自伝的(但し扱いとしてはフィクション)コメディ作品であり、少しでも創作したことがある(もしくはしようと思ったことがある)人間なら「分かる〜〜!!」となる部分がどんどん出て来るので気になった方は是非どうぞ。
以上、超余談でした。
まとめ:今回の武器は何だったのか
社長の歌は誰かの心を刺す為の武器。最初のWITHINはナイフであり(雑誌で公表済み)、次のPIERCEは穿つ為の針か槍かアイアンメイデン(私の持論)。
でも今回のは寄り添う為に遠くへ向かう存在。だから敢えて分類するなら、「ロケット」かなぁと思います。
始めは武器として生まれたけれど、今は希望を乗せる物。未知と未来を切り拓く物。遥か彼方の誰かに何かを届ける為の物。
ありがとうbuzzGさん。ありがとう社長。しっかり届きましたとも。
少なくとも私にとって、社長は私の世界を変えた人。変え続けている人。きらめく未来を提示してくれる人。だからずっと追い続けます。ちなみに序盤の感想で手振ってるところ滅茶苦茶良かったです。思わずモニターの前で手振り返してました(社長的には別カメラに向けたものの筈が合わせてもらえなかったと振り返りで聞いて爆笑しました)。
PIERCEのMVも気長に待ってるし前夜祭含めてアーカイブ周回したいし楽しみな告知山程あるしまだまだ燃え尽きるには早いらしいので。これからも、どうぞ宜しく。
2021/02/28 夕星
→6月13日追記:MV版の感想文はコチラ。