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 プロフィール・説明Twitterマシュマロ

最終更新:2021/06/15 17:40

 にじFes2021で発表された加賀美ハヤトのオリジナル新曲『トレモロムーン』のMV版が2021年6月11日に公開となりました。
 ファーストインプレッションと歌詞解釈のベースはにじFesの時の感想記事に記載していますのでそちらをご覧ください。以降はそれを前提とした部分があります。
 今回は新たな発見やMVならではのグッときたポイントがあったので毎度勢い任せの長い話です。
 まだ見てない人はまず見てね! もう見た人ももう1回見てね!

前置き:加賀美ハヤトはサプライズ上手

 いやー参った。今回もしてやられました。
 なんかやたらとバズったツイートの通り、新衣装絡みでPIERCEだと思わせておいてからの突然のトレモロムーン。
 ばっちりミスディレクションじゃねーか同期のみならずこっちもマジシャンかよやっぱりブラックマジシャンなんですかという気持ちもさせてくれたサプライズ、冬臣お母様まで騙されていたのくすっとしました。

 あとちなみに公開日は閃光のハサウェイと同時なだけかと思ってたら「双子座の新月〜ごく細い三日月の日」でして、狙ってたかどうか定かではありませんが分かってやってたんならすげぇ!ってなるポイント。
「微かで不確かな光」だしアウトロの月は一見三日月に見えるからハマってるんですよね。マシュマロのタレコミで教えてもらいましたが気付いた人もすげぇです。

正式版の歌詞

 ライブ版だと聞き取れていなかった部分・漢字違い・変更された点があるので改めて書き出し。
 いやー何度見ても良い詞ですわマジで。


鮮やかに視えて眩しくて 今すぐ向かうから
こんなにも微かで不確かな光だけど

(one, two)

それは太陽の緋を借りる物語
私のすべてを反射す鏡のように
摩訶不思議な引力に導かれて
纏ったカルマに綻びを乗せるよ

取り残された情熱の正体は
儚くて消えそうな揺らぐ月

あまりにも遠くて碧くて それに焦がれては
真っ暗で地図もない形もない時空を駆けて
借り物の光 煌めき 君に伝えては
幾千の屈せない離せない理由を紡ぐ

転がりだした時代で 涙が降った世界で
どうすればいい 繋ぎ止めたい この声で

誰かに行く先を委ねるぐらいなら
今すぐ喉元をかき切ってやるさ

この手に宿る青い炎の正体は
すべてを拾う為の揺らぐ音

この星の鼓動 瞬き 濁った命でも
綺麗じゃない美しさを信じていたいのさ
積み重なった轍と 静かに燃やした瞳で
何を見よう 共に歩んでくれないか

見つめ合うように 求め合うように
ふたつの光は溶けて
君の心にとっての 何かで在り続けたいと願った

鮮やかに視えて眩しくて 今すぐ向かうから
あまりにも遠くて碧くて それに焦がれては
真っ暗で地図もない形もない時空を駆けて
借り物の光 煌めき 君に届いてよ
誰にも奪わせない音を

転がりだした時代で 涙が降った世界で
聞いてほしい どこにいたっていいんだぜ
燃え尽きても 忘れないから
トレモロムーン

あまりにも遠くて 何より碧くて


そもそもこの曲は何だ

 結論から言うと、前回の解釈「社長=月、リスナー=地球」で合ってました。

 概要欄曰く「あなたを含めた誰かの手を引き、また誰かの背中を押す歌です。」。
 そして作詞作曲のbuzzGさん曰く「太陽の光を反射した月の光が地球に届くまでの数秒間を書きました。」。
 サムネイルの月を背景に、こっちを振り返って手を差し伸べている社長も実に良い。正しく月からの使者。ありがとうお母様。
 もうこれが全てです。こんなオタクの長い話要らなかったんや。でも書くけど。

 社長は自身をエンターテインメントと称し、人生の寄り道を幾つも提案してきました。
 誰かを責めることもほぼ無く、相手の自由意志を尊重しつつ自分も周囲も幸せにしようとしてきました。
 あまり解釈の提示をしないので手を引き、背中を押す歌だと明言してきたことはちょっとだけ驚きなんですが、或いはその「誰か」には社長自身も含まれているのかもしれません。
「あなた」1人だけではなく、大勢と共に在り、それでも間違い無くリスナー1人1人を見ていると言う為の社長の歌。

 周辺情報での補足も上手ぇ〜〜!!エモい〜〜!!と陶酔する訳なんですが、性懲りも無く話は続きます。

順を追って見ていく

 MV版になってから変わった所を中心に概ね曲の流れ順に見ていきましょう。

 イントロの五線譜に「trem.」。
 正に「ここからトレモロで」という意味を冒頭に持って来るの憎い演出。
 ちなみに前回はトレモロを「揺らぎ」と解釈していたんですが、音楽用語だと「2音または同音の反復」でして、つまり「ハヤトと隼人の間を往復する/同一人物ではあるが揺れる」と解釈することも可能で「どうして先に気付かなかったんだー!」となってます。奥深いね。

 同じくイントロの「ぽわわわわわー↑」って音、これがあるだけで何だか宇宙っぽさ感じるの何でだろう。
 何の楽器で出してるのかも分からんのですが音の与える印象って凄いよね。
 なお全編に渡ってどの楽器の音も気持ち良くて社長が「関わった人間1人1人がちゃんと詰めて作った作品」と言うだけあるなぁという感じ。

 そしてライブ版ではでかでかとタイトルコールしていた部分、今回は語りも無いしどうやって来るのかと思ってたら……
 ウィスパーの「one, two」。はい優勝。
シュガーソングとビターステップ」の時もそうだったんですが、突然のウィスパーは心臓に悪い。シャウトやハイトーンが武器だと思われがちですが思わぬ伏兵。良い声の男の囁き声が悪い訳が無い。
 一気にイントロが盛り上がる直前、一瞬落ち着くタイミングで挟んで来るの素晴らしいです。こっちバージョンのライブも見てぇぇ!

「太陽の緋」。これ最初「太陽の灯」だと思ってたんですが、青との対比になってたんですね。
 光を借り受けるという全体通じての意味合い的にはそう変わらなさそうですが、社長には赤のイメージも確かにあって(Zepp衣装が赤だったり縁あるボルホワ先輩が火文明だったり)、ただそれはライバーとして纏う色とするならば合ってそう。ちなみにペンライトが白なのはそれはそれで、何色にもなり得るのと清廉潔白(実質的にはそうでもないけど基本スタンスはそう)なイメージが合ってると思ってます。赤白黒のデイガカラーな印象。

「摩訶不思議な引力に導かれて」で出る見上げ社長。
 WITHINはラストがお母様によるお写真というサプライズでしたが、今回はサムネイルからお母様作で悲鳴上げてまして、まぁでもお忙しいし1枚かな?と思ってたんですよ。
 そんなことなかったー! これはこれで麗しゅうー!
 アンニュイめな表情も似合うよなぁ。これでいつもは大爆笑したり驚愕に眼見開いてたりするんだもんな……どっちも好き……

「あまりにも遠くて碧くて」の青は「碧」でしたね。
 前回も余談に書いた通り「あお」は実に範囲が広い言葉なのですが「碧」は「青く美しい石」の意。青が澄み切った青空のような青を指すことが多いのに対し、碧は緑がかった青、海の青のイメージ。
「月から見た地球」という意味では確かにこちらの方が合ってるのかもなぁと思います。

「幾千の屈せない離せない理由を紡ぐ」。これ前回のリスニング難関ポイントでして色々な意見がありましたがこうでした。
 最初「返せない果たせない理由」だと思ってたんですが確かにこっちの方がいい。借り物を返す気はまだ無さそうだし、社長の諦めの悪さは確かに何度も見て来たなぁと思う次第です。

「どうすればいい 繋ぎ止めたい この声で」の「この声で」部分、今回のMVの私的ベスト演出ポイントかもしれません。
 この背景の色味、多分WITHINを踏襲してるんじゃないかと。
 ここまでベースに青系、スポットでピンク系を使っていながらのオレンジ。しかも「この声で」部分で出す辺り絶対分かってやってるだろうお前ー!ってなるやつです。拍手喝采。

「誰かに行く先を委ねるぐらいなら 今すぐ喉元をかき切ってやるさ」にほんのちょっとだけ、がなり入ってるの良いよね。
 曲内随一の治安悪い歌詞に治安の悪い声を持って来るの上手いもんです。
 MVのビームをびゃーっとした感じの演出も何か好き。

「この手に宿る青い炎の正体は」、ここは青のまんまなんですよね。
 つまりやっぱり「碧い」のは他者(地球)で、社長(月)は「青い」。漢字で違いを見せているとするならばお見事ポイント。

「この星の鼓動 瞬き 濁った命でも」は最初「どんな命でも」だと思ってたんですがもっと言葉強かったですね。
「綺麗じゃない美しさを信じていたいのさ」と繋がるので、やはりぼくなつ理論は間違っていなかった。マジで清濁併せ持ちながら美しさを信じてる人だった。
 こういう「答え合わせ」になるの、解釈してる身として(誠に勝手ながら)とても嬉しくなります。

「君の心にとっての 何かで在り続けたいと願った」。前回も泣いたが今回もやはり泣く。
 WITHINでは自分の在り方を提唱した社長が誰か目線での在り方を願うのめっちゃエモい。
「何か」と具体的に言ってないのも滅茶苦茶好き。というかとても社長らしい。
 ちょっとだけネタバレになりますが、実は社長ってこれまで出したボイスの中で、聞き手と何か決めようとする時に具体的に何をしたか言わないんですよ。方向性は提示はするけど詳細は想像に委ねてる。
 そして誰かから見た社長はひとつに定まらないし、定めなくていいと思ってるんだと思います。

 癒しだったり、玩具だったり、尊敬(或いは信仰)の対象だったり、若しくはヘイトの向け先であったり。
 多分何であっても加賀美ハヤトはそれを許容し、良かったら共に歩んでくれと願っているのではないか。

「願った」部分がシャウトなのも、恐らくそれが加賀美ハヤトの武器でありアイデンティティの一環だから。
 ぶっちゃけこの曲調ならここでシャウトを入れる必要はあまり無くて、クリーンボイスだけでも充分ではあります。
 なのに入れて来たのは、これが他の誰でもない加賀美ハヤトの歌なのだと示す為のものであり、同時にここが強く伝えたい部分なのでしょう。

 ラスサビの方の「借り物の光 煌めき 君に届いてよ」の最後の上がり方、滅茶苦茶気持ち良くて好き。全体的にメロディーラインもめっちゃ良いですよね。アニメのOP曲っぽいという感想もありましたが、個人的には「最終回の重要シーンで本編中に流れるタイプのED曲」なように思います。この場合最終回のEDはOP曲でWITHINです。PIERCEは中盤の重要シーンで作中からEDへの繋ぎとなる特殊ED曲です。何の話だ。

 ラストの「トレモロムーン」、めっちゃ揺らいでるのは正にトレモロ感。
 ライブ版の高く、若干細く掠れたような揺らぎも良かったのですが、今回の遠い別の星から届いた中継音声を思わせるような加工もこれはこれで好き。
 最後の最後の「何より碧くて」のリタルダンド……になるんですかね、ちょっとだけテンポ遅くするのも名残惜しさがあっていい。その前のロングトーンが見事なのは言うまでもない。

 そしてアウトロ、画面がボケて終わるのは涙の滲みか望遠鏡のピンボケか。
 毎度ながらどうしたって「ありがとう」の幻聴が聞こえる訳ですが、そう言いたいのはこっちですありがとう。
 全体的にアイコンや図形を多く使ったスタイリッシュなモーショングラフィックスと絵画的な美しさのある社長と月と宇宙が絡み合うかっこよくて美しいMVでした。お見事でした。今回も最高でした。

余談:「背中を押す恐怖」について

 この曲そのものとはあんまり関係無いかもしれない、筆者の連想ゲーム的な話なのですが一応書いておきます。
 前述の通り社長は人生の寄り道を(主にホビー方面で)色々提案してる訳ですが、同時に人生相談系については「今後は拾わない」ことを語っています(きっかけとなった相談マシュマロ)。
 実際それはとても正しいと思っていて、企業所属Vtuberとしての発言力・影響力と、限られた文字や言葉でしかやりとり出来ないことを考えると無責任なことを言えないのは至極真っ当。
 つまり誰かの背を押してしまう危険性や、ある種の恐怖もあるんじゃないかと思いつつ、それも踏まえた上で自らの在り方を見せているのかもしれないなと推測する次第です。

 ここまで考えて、この前歌ってくれた「あなたの為に歌うのが これ程怖いモノだとは」(世界はそれを愛と呼ぶんだぜ/サンボマスター)とか、社長が最近聞き直した中に入っていたかもしれない「怖くても誰も背中押さないよ 押す方も怖いから」(beautiful glider/BUMP OF CHICKEN)とかが浮かびまして。
 ぶっちゃけトレモロムーンにはその辺の恐怖感というよりも「どうにかする為にもがく」「それでも光を求める/伝える」ニュアンスの方が強いんですが、バカ強い光の中に一瞬垣間見える闇というか、真夏の強い日差しの中に切り取られたように落ちる影というか、そういう両面性が好きなオタクなのでそれを察する度に良いねぇ……!と思ったりしています。
 そういう意味ではとても夏の人だとは思うんだけどね。ピッカピカのパリピのように見えて蝉時雨とかが似合うタイプ。私の中では。そういう所も好き。

NEXT...!

 満を持しての6月末ぐらいだそうです。
 でも待機所が来るまで何も信用しないと学びました。待機所が出来ても信用ならないケース(例えば新衣装お披露目)もありますけど。(なお新衣装でMV発表までは概ね想定内だったんですよ。でもこうなるとは思ってなかった。ハードル飛び越えるの上手だな毎度毎度……!)

 PIERCEもZeppの時に歌詞考察してて、現状見えてる範疇だと概ね間違い無さそうだけども天使衣装来んの?!とかラストのシャウトパートの歌詞どうなるんだろとかあるのでめっちゃ楽しみです。クソ重ラブソングだからまだ聞いたこと無い人は覚悟しとけよ!

 更に2周年には想像もできない何かがあるとか、恐らく以前イラスト募集していたSMC組の歌も来るだろうとかで、来月までまたドッキドキで過ごすことになります。まだ慣れない。何度やっても慣れない。我々は社長の掌の上でコロコロされるだけの存在なのだ。それがまた楽しいし嬉しい。

 今後も何卒宜しくお願いします。月は何時だって我らが頭上に。ありがとうございましたー!

2021/06/13 夕星

感想文トレモロムーン

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