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 プロフィール・説明Twitterマシュマロ

最終更新:2020/03/11 01:21

社長達のArk実況プレイを戦記っぽく書いた二次創作物。
大体は本編に寄せていますが、各種変更・誇張表現などを交えています。
事実関係は他視点含めた配信をご確認ください。

第2話。どんどん話が動くよ。

前回の話次回の話


【元動画】
 ソロ配信1回目2回目
 ゆめお登場回↓

社視点(途中まで)夢追視点

 

 α種を狩る為に、そして野望を果たす為に。
 力を求める加賀美ハヤトであったが、その覇道に必要とされるのは武力のみに非ず。
 それを補うかのような才が、そして後の戦火の兆しとなる新星がこの島へと現れた。
 
 "最近ちゃんとした袖も手に入れた、何でも出来る男"夢追翔。
 "温泉王"イブラヒム。
 邂逅まで、幾許か。
 
 
 
にじさんじARK戦争 第1章第2話『建国』
 
 
 
 打倒α種を掲げるアルファスレイヤーズではあれど、未だ加賀美は貧弱な人間である。
 頂点捕食者と名乗れども、実際にはカエルに負け、小型恐竜に負け、ピラニアに負け、テリジノサウルスには自ら不戦敗を喫した。辛うじてディロフォサウルスには勝ち最底辺こそ免れるも、棍棒という武器はあまりに貧弱であった。
 ならばテイムした恐竜を連れて行けばどうか。いつの間にか別個体に差し代わったトリケラトプスのヤザンに騎乗し、意気揚々と進む加賀美の特徴をここでひとつ述べるならば、この男は根は善人である。自身が悪事に向かないことに気付いており、相手が望まぬ争いは起こすことは無い。自らの騎竜の前を通過しようとする小型恐竜に道を譲り、襲われない限りは闇雲に攻撃もせず、ヤザンに優しく声を掛ける姿は悪逆非道の暴君とは正反対に位置する。
 だがしかし、惜しむべきは未だ彼が無知であり、次いでこの日は天運を味方に付けられなかったという点だろう。森の奥を探索中、ディプロドクスのテイムに失敗し沼地に落ちた加賀美とヤザンにアルファ・ユタラプトルが襲来する。過去の因縁が過ぎるも、社やチャイカすら居ない加賀美には対抗する術は無かった。こうして2代目のヤザンもα種の牙の前に散ったのである。
 
 新たにヤザンの系譜を継いだのは、丘の下で捕まえたプテラノドンであった。崖上に拠点を構えた時から待望されていた飛行可能な恐竜である。軽ヤザンと名付けられた彼女と共に冒険に繰り出した加賀美は、桜凛月の拠点付近に建てられた大きな門に感嘆し、遺跡を探索する。更にパラサウロロフスのヴェルファイア、Tekパラサウロロフスの鉄ヤザンも道中でテイムし、遠征は順風満帆のように思えた。
 しかしその帰路、またしても差し掛かった沼地で大量の肉食恐竜に襲撃を受け恐竜達が死亡、加賀美もまたユタラプトルの牙に倒れる。拠点まであと僅かというところで全てを失った加賀美は、この島の厳しさを改めて実感するのだった。
 
 だが訪れるのは悲報ばかりではない。最近装いを新たにし、ちゃんとした袖(なお着脱も可能)を手に入れた夢追翔が正式にアラサートライブへ加入したのである。
 復讐の鬼と化した加賀美と怨嗟の鬼と化した社はこれを歓迎、早速研修が行われる。前評判の通り覚えの良い新人だけあってうっかり加賀美の気が抜ける部分もあれど、拠点の整備や素材採集も進み、恐竜達も数を増した。後に移動要塞と化すディプロドクスのエンチャ割る夫、ヤザンの系譜として採取に戦闘にと多いに活躍する黒ヤザン、夢追の愛車メルセデスベンツをテイムしたのもこの時である。
 相変わらず恐竜達には優しい男達だったが、同時に彼らを守る物が何一つ無いことにも気が付いた。防衛の為にも防壁の建造は急務であり、石材の調達と建築が進められる。まず崖側から建築したのは当然外敵からの襲撃にも備える為である。今更ではあるのだが、冒険大好きの男子達にとってはこれが最速の時機であった。
 社がフリーズ後そのまま先に島を離れ、加賀美と夢追だけが残された。彼らは島の外でもユニットを組み、得意分野も重なる強敵(ライバル)にして盟友(とも)である。多くの苦楽を共にしてきた仲であり、この地でもまた協力して問題解決に当たるのは当然であった。
 まず崖に沿って石壁を並べ、更に拠点西方の斜面を塞ぐように門を置いた。それは最早「関所」と呼ぶべき有様であったが、あくまで戦争をも視野に入れた彼らにとっては必要不可欠な建造物だった。
 そして彼らは以前より先送りにしていた問題を思い出す。
 
「あー、ガチガチの要塞にするなら水道の問題があるのか」
「水道は確かに死活問題だな……なんで水道引けないかって、他人の建造物があるからなんですよ。無くなると引けるんですよ」
「……ごめんね、もう1回だけ事実の確認をするんだけど、他人の建造物があると水が引けないから、それが無いと水が引けるんだよね?」
「そうです」
「OKOK」
 
 2人の間の会話はこれで充分であった。戦乱を招こうとしている加賀美は勿論、夢追もまた策略家だった。
 水道管の建造を邪魔している建物を破壊すればいい。
 さしもの加賀美もそのアイデアは採用を拒んだ。この心優しい戦争屋は、戦いたくない者を戦火に巻き込む気は無かったのである。夢追もまた加賀美と視聴者達を嗜める立場であった。追っ翔(夢追リスナー)が「えぇ、やらないんですか?!」と驚愕しようとも、無謀な策は将来的に自らの身を滅ぼすと知っていた。
 しかしここで潜在株主(加賀美リスナー)から「同盟を組んで水路を引く」という提案が成される。後世から見れば寧ろ彼らは何故気付かなかったのかと嘆かれるかもしれないが、彼らは未だ他トライブの者と殆ど交流の無い未開の徒であった。他者の認識が「敵」か「無関与」のみであっても無理は無い。
 そして同じく今これを読んでいる諸兄ならばお分かりであろう。
 これが後の戦乱に大きく影響する『水同盟』の発端である。
 
 加賀美は自らの足で梯子を降り、水道建築を邪魔している将来の同盟相手が誰かを確認しに向かった。
 海岸に立つ小さな家とオープンな建物には、「イブラヒム」という名が記されていた。彼らの所属する団体にじさんじに於いて、当時最も後輩に当たる人物である。元石油王・現温泉王という特異な経歴を持つ期待の新星は、この未開拓の地で商売をしようとしていたのである。先見の明があると言って差し支えあるまい。
 そして加賀美もまた島の外では加賀美インダストリアルという玩具会社の代表取締役である。小売を行う為には商品の仕入が必要であり、物資提供協力を行うことでイブラヒムと同盟関係を結べること。更に関所の眼前にイブラヒムの捕獲罠があり、関所の扉を閉めてロックするとそれが使い辛くなるとことを瞬時に導き出した。これには夢追も「経営の才能がある、流石社長やってるだけある」と絶賛した。
 イブラヒム側にもメリットがある。これは平穏に同盟を締結する為の最低条件である。だがそれでは不十分であるという気配すら発することなく、さも当然のように夢追は言い放った。
 
「交渉にはとりあえずテリジノを2体ぐらい連れてく?」
「はっはっは! ……想像の二億倍ぐらい夢追さんと相性良くて困るなぁ」
 
 アルファスレイヤーズに求められていた武力以外のピース。戦争を推し進める狂気の才。
 それが揃ってしまったと、かの"森"を目の当たりにした経験のある潜在株主と追っ翔は悟っただろう。
 夢追翔が"天性の無慈悲(サイコパス)"であると知らしめたのも加賀美との2人でのサバイバルであった。この島から遠く離れた森の中、原住民を相手に、生き抜く為とは言え史書に記載するにも躊躇う非人道的行為を繰り返した紅葉狩りの日々から幾許か。加賀美はとうに夢追の毒気に脅かされていたのだと、或いはもっと早く気付くべきだったのかもしれない。
 参謀。得てして自らの欲求に忠実になり過ぎて暴走しかねない盟主を御すその役目に、夢追はあまりに適役だった。
 
 現状島に不在のイブラヒムに同盟希望を伝える為、まだ開いたままの関所の門内と、実は利用しているという梯子の上に加賀美達は立て札を立てた。
 更に念押しとしてドードーを捕獲し、手付金名付けてイブラヒムの店舗へと置いた。これは前述の通り、他人の建物の近辺には建築が出来ず、従って立て札を置けない為である。後に伝書ドードーや伝書アルゲンタヴィスとして知られる手法であり、交渉前に贈答品を渡すというのは相手の心情を考慮しても実に理に適った手段である。
 
 手配を終えた2人は、更に最後の大仕事を迎える。
 拠点東側の斜面にも巨大門を配備することである。ここは狭路であり、門を閉ざすと西側からの侵攻が困難になる。更にジャングルの木々の中に大型恐竜をも通れる門が聳える図は圧倒的な威圧感を持っていた。
 そして壁を巡らせ門を作るという行為は、自らの領土を示す行為でもある。
 
「これで我が国の建国です」
 
 凶悪な恐竜に虐げられていた4人の人間達は手を結び、一介のならず者の集団は遂に国となった。
 加賀美は君主となり、夢追はこの国を『アルファスレイヤーズキングダム』と名付け、門の傍にその威光を知らしめる看板を立てた。昇ったばかりの太陽が新たな伝説の始まりを祝福するかのように辺りを照らした。
 その中で加賀美は新たなドードーをテイムし、「ボクタチ トモダチ カガミ」と名付けてイブラヒムの店舗に置いた。話の通じない人物であると伝える為である。これから交渉をしようとする相手に対し謎の行動であるが、その真意は偉大なる国王のみが知る。尚、この場面を目撃した夢追曰く「ドードーを持っているハヤトが可愛い」とのことである。
 
 斯くて同盟の準備は整った。
 繰り返すが、この地は弱肉強食である。先輩後輩などという人間界の序列は然程意味を持たず、力と知略の勝る方が打ち勝つ世界である。
 束の間の微睡みを楽しむが如く静寂を保つ島の中、未だ相手の姿は見えず。
 しかし無邪気な好奇心は、戦乱へ向けて時計の針を着実に進めていた。
 
 
 
「え……何これ?」
 
 イブラヒムが王国からの使者に気付いたのは、その2日後のことであった。
 
 
 
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